トップページ > ブログ > エンディングノートと事業承継は、別々の話ではありません ─ 佐々町商工会女性部セミナー登壇報告

長崎県・佐々町商工会女性部様からのご依頼で、「エンディングノートの書き方・活用方法」をテーマにしたセミナーに登壇いたしました。参加者の多くが事業を営む方々だったため、120分の中で、エンディングノート本来の内容に加えて、事業承継や相続の実務にまで踏み込んでお話しすることになりました。

 

終わってみて感じたのは、エンディングノートと事業承継は、別々の準備ではないということです。どちらも「今のうちに、整理しておく」という一点でつながっています。

 

■ 相続争いは、お金の話ではなく「愛情の分捕り合戦」

エンディングノートとは、財産や気持ちを家族に伝えるためのノートのことです。遺言書と違って法的な拘束力はありませんが、書式は自由で、書き直しも自由です。

セミナーでいつもお伝えしているのは、相続で揉めるのは、財産が多いとは限らないということです。

相続をめぐる調停や審判は、この20年でおよそ2倍に増えているといわれます。しかも「お金持ちは争わない」というのは、実感としてもその通りです。相続税の申告期限内に納税しなければならない家庭ほど、延滞税を避けるために早くまとまりやすく、逆に相続税のかからない家庭ほど、感情のもつれがそのまま長引いてしまう——そんな傾向があります。

 

その正体は、突き詰めると「親の愛情の分捕り合戦」です。「お兄ちゃんは大学院まで出してもらったのに、私は短大だった」「あなたは持参金付きで嫁に出しただろう」——争いの種は、金額そのものよりも、その奥にある「自分は大切にされていたのか」という思いであることがほとんどです。

 

私自身の家でも、義父が亡くなったとき、何十年も前の土地の贈与をめぐって、葬儀の日に親族間でトラブルが起きたことがあります。義父が生前「自分があげたものだから自分のものだ」と言い張っていた土地が、いざ相続の場になって波乱を呼びました。何が起こるかわからない、というのが正直な実感です。

 

だからこそ、エンディングノートの「私の思い」のページには、それぞれの子どもへの感謝の言葉を、理由まで添えて書いておくことをお勧めしています。「お墓を守ってもらうから、長男には少し多く渡したい」——そのひと言があるだけで、残された家族は「親はちゃんと考えてくれていたんだ」と納得できるのです。

 

■ 事業承継の3つのチェックポイント ─ 後継者・株式・納税資金

参加者の多くが事業者だったため、後半は事業承継のお話に多くの時間を割きました。実践できるチェックポイントは3つです。

1つ目は、後継者は誰か。親族なのか、社内の人間なのか、第三者への譲渡なのか。これが明文化されていない会社は、実はとても多いです。

2つ目は、株式は誰がどれくらい持つのか。経営権を安定させるためには、後継者への集中が必要になります。

3つ目は、納税資金はあるか。中小企業では、株価だけが高く現金が不足しがちで、相続税が払えず事業が止まってしまうケースも実際にあります。

 

セミナーの中でもご紹介した、ある相続アドバイザー講座で学んだ実例です。

兄弟2人が、事業用の土地をちょうど半分ずつ登記したことがありました。一見、公平で問題なさそうに見えます。しかし、事業を継いだ兄が、土地と建物を手放さざるを得なくなり、事業の基盤を失いかけたのです。土地を分けるのではなく、事業を継ぐ側に土地を、継がない側には現金や生命保険金を——この設計ができるのは、親が元気なうちだけです。

相続税や事業承継の対策は、税理士であれば誰でも詳しいわけではありません。確定申告を中心に扱う税理士と、相続を専門にする税理士とでは、知識の深さがまったく違います。頭が痛いときに、皮膚科ではなく脳外科に相談するように、事業承継のご相談も、その分野を専門にする方を選ぶことをお勧めしています。

 

■ 「幸齢整理®」という考え方

私はこうした一連の作業を「幸齢整理®」と呼んでいます。幸せに歳を重ねるための整理という意味です。モノだけでなく、お金、気持ち、人間関係——整理するものは、家庭によって少しずつ違います。ただ、どの整理も「今のうちに」動き出すことでしか、進みません。

今回、佐々町商工会女性部の皆様から、最後に温かい拍手をいただきました。会場のその空気から、このテーマがそれだけ多くの方の実感に近いものなのだと、あらためて感じています。

 

■ よくある質問

Q. 相続で家族が揉めないために、今からできることはありますか。
A. エンディングノートに、それぞれの子どもへの感謝の言葉と、その理由を書いておくことです。「なぜこの配分にしたのか」が伝われば、相続争いの多くは防げます。

 

Q. エンディングノートだけでなく、事業承継や相続の話も依頼できますか。
A. はい。参加者の属性に合わせて、相続や事業承継のパートを厚くすることも可能です。ただし、お話しできるのは一般的な知識と考え方の整理、そして「何を専門家に相談すればよいか」が分かるところまでです。個別の税務・法務のご相談は、税理士など専門の士業の領域になりますので、セミナーでは扱っておりません。

 

Q. セミナーの時間はどのくらいが目安ですか。
A. 60分〜120分程度で承っています。今回は120分でした。

 

これまでのべ8,000人を超える方々を指導してきた経験と、ファイナンシャルプランナー・終活アドバイザーとしての知見をもとに、情報提供と考えるきっかけをお伝えします。個別の税務・法務のご相談は、税理士など専門家へのご相談をおすすめしています。

対象者や時間に合わせたカスタマイズが可能です。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。

 

■ セミナー・講演のご依頼について

場と魂の整理師 藤岡聖子として、また整理収納アドバイザー1級認定講師として、「エンディングノートの書き方・活用方法」「事業承継とエンディングノート」をテーマにしたセミナーを、商工会・企業・団体向けに行っています。

これまでのべ8,000人を超える方々を指導してきた経験と、ファイナンシャルプランナー・終活アドバイザーとしての知見をもとに、情報提供と考えるきっかけをお伝えします。個別の税務・法務のご相談は、税理士など専門家へのご相談をおすすめしています。

対象者や時間に合わせたカスタマイズが可能です。

ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。