「忙しいのに、なぜ片づけなんだ」——現場でよく聞く言葉です。
営業や採用に比べると、整理整頓はどうしても後回しにされがちなテーマではないでしょうか。
2026年7月10日、富山県の庄川町商工会女性部様にお招きいただき、経営セミナー「あなたの会社は何点? 整理整頓で生産性アップ」をお届けしました。約90分、テーマは5S。整理収納アドバイザー1級認定講師として、企業向けにお話しする機会をいただきました。
整理整頓は「順番」を間違えると、必ず崩れる
多くの会社が、同じ失敗を繰り返しています。テレビでビフォーアフターの収納特集を見て、「あの収納グッズ、良さそう」と買ってくる。最初の1週間はきれいになります。でも、1〜2週間もすると元に戻ってしまう。
理由は簡単です。順番を間違えているから。
整理・収納・整頓には、正しい順序があります。
①整理(不要なものを取り除き、必要・不要を区別する)→②収納(残ったものをどう収めるか決める)→③整頓(決まった場所に戻す)。学校で「整理整頓しましょう」が成立するのは、ランドセル置き場も上履き置き場も、置き場所がすでに決まっているからです。
会社や家庭でつまずくのは、物が多く、置き場所が決まっていないまま「整頓」から始めてしまうからです。
セミナーでは、参加者の皆さんにスマートフォンで簡易的な診断ツールを受けていただきました。いくつかの質問に直感で答えるだけで、自社の現状が数値化され、いくつかのタイプに分類されます。同じタイプの方同士でグループになっていただくと、驚くほど似た悩みが出てくる。「うちだけじゃなかったんだ」という空気が生まれるのが、このワークの面白いところです。
探し物は、何も生み出さない
もう一つ、経営者の方に必ずお伝えしていることがあります。整理整頓は「見た目」の問題ではなく、「利益」の問題だということです。
たとえば、社員100人の会社で、一人が1日10分の探し物をしていたとします。時給3,000円で計算すると、年間の損失はおよそ1,000万円。探し物は何も生み出しませんから、その時間が本来の業務に充てられていたら、実質的な差はさらに大きくなります。以前、ある大手テーマパーク運営会社で本社の方だけを対象に同様の試算をしたところ、探し物によるロスが1億円を超えたこともありました。
信用への影響も見過ごせません。
取引先が工場を見学したとき、整然とした現場を見て「この会社なら大丈夫」と、ほとんどプレゼンテーションなしで商談が決まった例もあります。
逆に、入口に書類が山積みになっている会社は、「機密事項は任せられない」と取引を切られるリスクを背負っています。整理整頓は、コストであると同時に、信用という資産でもあるのです。
おわりに
5Sは、その場をきれいにすることが目的ではありません。
物の量、置き場所、ルールが整うと、社員の判断がスムーズになり、仕事の効率が上がり、結果として売上や信用につながっていく——そのための「土台づくり」です。
今回のセミナーについて、企画いただいた研修会社様からは「グループワークも盛り込まれており、参加者を飽きさせない工夫が随所にみられ、大変好評を博すことができました」というお言葉をいただきました。90分という限られた時間の中で、少しでも「明日から実践できる」ヒントをお持ち帰りいただけていたら幸いです。
セミナー・講演のご依頼について
「整理整頓で生産性アップ」をテーマにしたセミナーを、企業・商工会・各種団体様向けに行っています。
スマートフォン診断による現状の見える化から、整理・収納・整頓の正しい進め方、動線・レイアウトの改善、ルールづくりまで、貴社の課題に合わせてお話しします。
ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。