社会福祉法人からのご依頼でした。特別養護老人ホーム、障がい者支援施設、デイサービスやホームヘルプ等の福祉事業を展開されています。
日々のお困りは、モノの多さ。デイサービスでは、クライアント様を楽しませる季節物からおむつ各種、雑多なものがあふれていました。また事務所では、書類の掲示がベタベタと貼られ、本当に必要な書類が何なのかが分かりづらくなっていました。一般企業でもありがちな書類管理問題です。
見てほしい資料を見てくれない。
何に原因があるかというと、そもそもどれが大切なのかわからないからです。口で何度か言ったぐらいでは、人の行動は変わりません。では、どうしたら変えられるのでしょうか。
一つ目は、見栄えを良くすること。
な~んだ!と思うかもしれませんが、整理整頓されていれば、何がどこにあって、どれが大切だというのが分かりやすくなります。それだけで必要書類の認識力が上がります。
2つ目は、確認しやすい位置にあること。
掲示板の場所が、事務所の奥まったところにあり、通路も狭い状態でした。さらに事務員さんがPC入力を行う場所の上でもありました。勤務時間がバラバラなので、常に人が確認する場所としては不適格でした。ようは掲示板の場所を変えるだけで、お互いにストレスなく仕事に取り掛かれるのです。日々の習慣になっていると、変えようという発想自体が湧かないのです。
慣れというものは恐ろしいもので、なんとも思わなくなります。それが続くと個人宅では汚部屋になるし、会社なら使わないモノであふれかえっていくことになります。当然、効率が落ちます。
気分が落ちるので、朝からすでに効率が悪くなっています。朝一のモチベーションは、とても大切だからです。朝から上手くいっている日は、午後も上手く仕事が回ります。かったるいなと思った朝は、その日一日がダラダラとしがちです。それを変えるのが、この事務所の場合は掲示板の場所移動と無駄なモノの廃棄でした。
始めは、整理
どんな事務所でも、始めにやることは必要なモノだけにしていくこと。1Sである整理です。ここを飛ばして整頓をしても、収納でごまかそうとしても、結局は崩れます。徹底して「整理」をすることです。では、なぜ整理が進まない企業があるのでしょうか。
ルールが決まっていない
廃棄のルールが決まっていないことがほとんどです。また、その管理者が決まっておらず、誰に聞けばいいのかわからないことが原因です。職員は勝手に処分することはできないので、わからないモノはそのままにしておくのです。写真を見ただけで、「ここにあるものはいらないのでは?」と思うこともあります。実際に写真について質問をすると、「たぶんいらないものだと思う。」という答えが返ってきました。なぜ指摘されるまで気が付かないのでしょうか。
風景と化している
毎日目にするものは、無意識に風景と化しています。それは気にならないモノとして、脳は処理します。ストレスを減らすためです。デスククリーンは、大手では当たり前になりましたが、中小企業ではまだまだ机上に書類が置かれたままのところも多いです。部屋自体にセキュリティーがかかっているので、書類はそのままというところもありました。本当にそれでいいのでしょうか。
朝が重要だという話をしましたが、何もない状態からファイルをだして、「よし!やるぞ!」というのと、「またこれか・・・」というのでは、まったく違うのはお判りでしょう。モチベーションは、直接効率アップにつながるので、セキュリティだけの問題ではないのです。
本部でやるべきこと(マニュアルの作り方)
職員が出来ることと、出来ないことがあります。例えば、マニュアルの差し替えです。法律が変わるたびにマニュアルが変更になります。新しく変わった部分だけを印刷して配っていると、職員はどこにどう挟めばいいのかわからず、また探す場合も、前後すべて読まないと分からないということが起きます。マニュアル変更は手間と時間がかかる割に、仕事に直結しないため、後回しにされがちです。するとさらに分からなくなります。悪循環の始まりです。これを解決するのは、印刷をしている本部の対応です。
改正されたページナンバーを元のマニュアルに合わせて、内容を変えていきます。変更が一部分だけだとしても、ページ全体が変わるのなら、変わらない部分も印刷し、ページの差し替えで問題が起きないように調整します。ページが増えるなら、1-1、1-2のように枝番を付けていきます。職員は同じページを抜いて、新たなページに差し替えます。たったこれだけで頭を使わずに済むので、時間短縮になります。本部がすることは、いかに現場を効率的に回すかであって、自分たちが楽をすることではないはずです。その視点が欠けると、このようなことが起こるのです。
今回の研修では、様々な仕事についている方からお困りごとを上げていただきました。些細な事もありますが、現場で働いている方にとっては、重要なことです。それにすべてお答えさせていただき、ご自分たちで改善できるようにお伝えしました。研修が役立つことを祈っています。
デイサービスのモノについては、次回に投稿します。