整理整頓コンサルティングのご依頼をいただきました企業様に、オフィス環境診断をした現状分析をお持ちしました。
社長様は生産性を上げるために、使っていない材料などを処分するように言われるのだそうですが、従業員が捨てないのだそうです。
「これは高かったから。」
「使うかもしれない。」
よく女性が、クローゼット一杯に詰まっている洋服を処分できずにいる状況と、思考はあまり変わりないようです。
個人宅であれば、個人の責任だけで収まるのですが、会社でこれをしてしまうと、あちこちに問題が発生します。
そもそも論から言えば、発注を掛ける際に、
どれくらい使うのか?
期間は?
見積はどうしているのか?
ということになるでしょう。
お話をお聞きしていると、ほぼ使わない材料らしく、社長が従業員がいないうちに処分されているのだとか。それでも気が付かないというのですから、まさに家庭と同じだなと思ったのでした。
よく奥様方から聞くのが、夫の趣味に関わるコード類。何が何だか分からないくらいに増えているので、定期的に処分される奥様がいます。捨てても分からないからって。(笑)
いえいえ、旦那様は気が付いているのです。「また捨てただろ~!」と言われていたのを何度か聞いています。使用用途を理解していない場合、勝手に捨てたら、また買ってくるだけです。お金の無駄使いです。
会社はどうでしょう。使わない部署の人が、使っている部署に断りもなく処分すれば、先の家庭と同じです。
ただし、使わないモノを放置しているのであれば、そのこと自体が、お金の無駄になるのです。
在庫となって保管するには、コストが掛かってきます。
その材料を置くスペース。
置くスペース自体に、コストが掛かっています。賃貸であればそのスペースにお金を払っていると認識しやすいのですが、自社ビルであったり、自社の所有地であると、目が届かないコストになりがちです。でも確実にコストは掛かっています。固定資産税は、必ず払わなければならないからです。
使わないモノであれば、もっと日常使うモノを多くストックすることができます。発注回数が減れば、発注に使う時間や送料が減るでしょう。
材料にもよりますが、金属であれば錆びないように保管する必要もあるでしょうし、それなりの手間がかかるはずです。
全部処分するのが不安なら、数を減らして省スペースにするということも考えられます。
生産性を上げるという面からも、保管スペースが無駄に広くとられているというのは問題でしょう。
職種によると思いますが、美容院経営をしている企業様が、古いポスターを捨てられないと言われていたことがあります。
お得先の美容院によっては、同じポスターが欲しいと言われることがあるからだそうです。商品を次ぎ次ぎと開発していくので新しいテイストのポスターが作られるわけですが、古い商品を使い続ける取引先もいて、以前のポスターがいいと言われることがあるとのこと。取引先経営者の好みが関わってくるのです。
家電製品を考えると分かりやすいと思いますが、部品を確保しておく期間というのが、各メーカーで決まっています。たいがい10年経てばないですね。Bto Cの場合と、B to Bの場合では期間が異なると思いますが、どちらにせよ保管する期間を決めておくことが必要になります。欲しいと言われるかもわからないモノに大きなスペースを長年割くというのは、やはり止めたいものです。
結局はルールづくりが大切になってくるわけですが、そのためにも、コミュニケーションは大切になってきますし、なぜ処分しないことが会社にとって迷惑になるのかという点を、従業員に理解させる必要があります。
初回の研修は、会社の現状分析結果と、整理についてお話をしようと思っています。