トップページ > コラム > ホワイトカラーの整理整頓で、人手不足解消のきっかけに!人材確保の前に仕事効率と社員の定着率を上げるための環境整備をしよう。

日銀が、3月の企業短期経済観測調査(短観)を発表しました。

 

それによると、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が2四半期連続で改善するなど、景気の回復基調が続いているとのこと。景気が良くなるのはいいことですが、それに伴い人手不足も鮮明になってきて景気の足かせになる懸念もでています。すでにヤマト運輸などは、人手確保のために宅配の時間を見直すなどの対策をとっているのは周知のとおりです。

 

 人手不足を補うには、女性や高齢者の活用が欠かせなくなります。でなければ、外国から人手を受け入れる必要があり、介護現場などでは8年前から試行錯誤が始まっています。しかし、看護師試験は日本語のためハードルが高く、母国では医療に従事しているにも関わらず日本人が90%の合格率なのに外国人は7.3%に留まっているのが現状です。外国(インドネシア・フィリピン・ベトナムとの提携は、元々日本で従事するために始まった制度ではないと政府は言っていますが、実際は人手不足を看護師候補者で補っているということでしょう。

 

 人手不足は介護現場に限りません。コンビニでも外国人が対応しているのは、日常の風景となっています。住宅関連では、震災復興・東京オリンピックなどの需要も重なり、職人の確保ができずに工期が延びてしまうこともあります。個人宅のリフォームが順調に伸びていますが、その間引っ越し先の家賃が余計にかかるということも少なくないようです。

 

 

 企業が人を集めたいという目的の1つには、経営する上で好機を逃さずに製造販売をしたいというのがあります。需要があるにも関わらず、フル生産でも追いつかないという企業があるからです。

ドローンに象徴されるように、ロボットで人手不足対応の省力化・合理化投資などに資金を投下する企業も、ますます増えていくでしょう。企業にとってはいいことかもしれませんが(仕方なくという企業もあるかもしれませんが)、広がっていけば人が働ける場がなくなっていくことにもつながります。

 

 そんな大きな投資をすることができるのは、大手企業。中小企業は、なかなか難しいのではないでしょうか。設備投資を最小限にし、今ある人材のフル活用を考えるならば、職場環境が本当に働きやすいかどうかを見直す必要があると思います。

 

 

デスク周りが雑然として、日々探し物をしている社員はいないでしょうか。

 

時間という貴重な資源をムダに使っていないでしょうか。探している時間も、お給料は支払われています。

 

在庫管理がしっかりできていなくて、誤って仕入れをしてしまったということはありませんか?

 

その分倉庫代が余分にかかってしまいます。スペースにはコストがかかっています。そのコストは、どの部署が負担するのでしょうか。消費者に転嫁するのはたぶん難しい時代でしょうから、会社の負担になってしまいます。どうして間違ったのでしょう?管理体制の甘さ、書類の整理ができていないからではないでしょうか。意識の高い低いは、周りの環境が大きく作用します。

 

 人が集まったとしても、その人が一人前に育つには時間がかかります。その間、現社員の負担は人材教育に時間が割かれ、仕事効率が落ちます。ちょうど4月は新入社員が入って、教育係を多くの方がされているでしょう。

 

 もし雑然とした職場であるなら、モノの置き場についても、本来は一言で済むことが複雑な説明になっているかもしれません。環境は頭の中と同じ状態なので、説明している人の言っていることが、新入社員の理解に及ぼす影響もあるかもしれません。そこも時間的ロスにつながっています。

 

 

 引継書があると思いますが、そこに書かれていることは煩雑になっていないでしょうか。分かりずらい所以が環境のせいだということもあるのではないでしょうか。スムーズに流れるように仕事が捗るのが理想です。そのための設計はされているでしょうか。個人任せでバラバラの基準になっていないでしょうか。会社としてのルールは徹底されているでしょうか。そもそもルールはありますか?なければ勝手に処分できないので、書類は溜まっていく一方です。

 

効率を求めるのであれば、整理整頓は欠かせません。人材確保が難しければ難しいほど、

・どこに何があるのか明確であること

・出し入れするための最も最短場所に収納されていること

・誰もがその場所を知っていること

ここだけを改善しても、かなり効率が上がることになります。

 

 

 人が増えた時も、理解しやすいので職場になじむのも早いでしょう。人間は、環境によって気分が変わるものですから、心地よい職場には人が定着しやすいのです。社員の定着率が悪いのは、仕事のせいだけではないのです。人間関係も、スッキリした職場の方が何故か風通しよく思えます。それは頭の中の風景が関わっているからです。自然の中にいると気持ちがよいと感じるのと似ています。

 

 生産現場では5Sが当たり前になりましたが、事務に関しては書類のムダを省こう(ファイリング)ということ位しかされてきませんでした。その書類も、本当に必要なモノだけになっているのか見直す必要があるかもしれません。法定年限ごとに保存しているのか、いらないメモは一緒に保存されていないか、法定年限が過ぎたモノは溶解処分されているのか、様々な検証をするだけで、今までコストでしかなかったスペースが有効活用できる場として表れてきます。

 

たかが整理整頓、されど整理整頓。

年度末の忙しさが収束した今だからこそ、見直す価値があると思います。

 

 新入社員の素直な意見に耳を傾けるのも、一つの方法であろうと思います。新しい『目』は普段気が付かずにいることに焦点を当てることができるからです。だからこそ、外部のプロの目を入れることで、社内状況が変わり、社員の意識が変わり、効率アップ・収益向上につながるのだと思います。